フォード・ハラム
●2006年11月2日〜20日
勝山は、日本の過去の魅力と洗練を今に伝える数少ない地方の町です。穏やかで美しい自然に囲まれて暮らし、静かな環境の中で自分のアートと工芸の技術に専心できたのは本当に恵まれたことでした。
日本の伝統工芸である金工の道を歩むただ一人の外国人としてその正統性、作品の真正か否かについて長い間自分に問い続けてきましたが、ひしおにいらした大勢の方々の心からの評価とサポートはその疑いを払拭してくれました。
金工師として30年間仕事をしてきましたが、アーティストとしてはこれからです。勝山での滞在は自分の美学、金工における自分のことばを探求する跳躍板になりました。私を導いてくれる過去の精神に忠実でありながら、自分にとっては外国のものである日本の伝統工芸の枠を超えて、自分のアートを押し進める自信ができてきたのです。そして、勝山という町自身が、のっぴきならない現実の生活の中で過去を理解し現在と融和させていくという過程を雄弁に語っているのです。