金工いまとむかし
- 南アフリカに息づく日本伝統工芸 -
●2006年11月2日―20日
ひしおアーチスト・イン・レジデンス2006 – フォード・ハラム
日本人でいながら日本の伝統工芸について学ぶ機会は少ないのだが、昨今外国人でありながら、この道を究めようとしている人たちがふえてきている。ハラム氏もこういった開拓者の一人であり、現在南アフリカで作家活動をしている。
ジュエリーデザインを学んだハラム氏ではあるが、日本の金工に魅かれ、独学で試作をしている頃、ロンドンである日本美術の店に入った。店主のマイク・ディーン氏とのこの出会いから、伝統工芸士金工作家泉公士郎の弟子として本格的にこの道を究めることになる。今回の展覧会「金工いまとむかし」は、現代作家である海を越えての師弟二人の作品に、彼らを引き合わせたディーン氏の古い作品のコレクションを加え、金工作品の、「いまとむかし」を観ていただこうというものである。金工の長い歴史、伝統を踏まえ、新しく自分の分野を開拓していこうとしているハラム氏である。
ハラム氏は、「ひしおアーチスト・イン・レジデンス 2006」として、勝山にやく一ヶ月間滞在し製作活動にあたるが、3日には、日本の文化、美、工芸との出会いについて講演する。彼の情熱を感じ、西洋の感性と日本の伝統工芸との融合である彼の作品にふれることは大変興味深いことであり、日本人であるがゆえに日常忘れている‘日本性’を考えてみるいい機会になるのではないかと思われる。子供たちを対象としたトークもあり、彼らにとって、日本の伝統工芸を外国人が真摯に究め、新たなる発展に挑戦する姿は、大きなインスピレーションになるのではないかと考える。