青地大輔展 月相

・2021.9.11[SAT]-9.28[TUE]
勝山文化往来館ひしお │ 入場料:300円 │ 水曜休館 │

太陽が沈み、夕焼けのグラデーションが終わる頃、月の時間が始まる。太陽の後を追うように沈む月や、入れ替わるように昇る月は、刻々と姿を変化させ、おおよそ29.5日という時間をかけて永遠の再生を繰り返す…。

古来より、月は人々にとって想像力の源であり、暦や祭事、吉凶占いに用いるなど、生活とは切り離せない存在である。月にまつわる神話や伝承も数多く残されており、月を愛でる様子が和歌にも詠み込まれるなど、人々にとって月がいかに惹きつけられる存在であり、身近なものであったかがよく分かる。

そして現在、瀬戸内の水平線の見える場所にて。水平線近くで見える月は、大気の影響により赤い光以外は遮られ、多くの人が“達磨”と呼称する蜃気楼を伴う姿を現す。この現象は、朝日や夕日で見られるものが一般的だが、月も同じくその幻想的な姿を見せてくれる。しかし、年間を通して出会える機会はそう多くない。

月には満ち欠けがあり、新月、三日月、上弦の月、満月、下弦の月、三日月、新月と、その姿は日々変化していくため、同じ形のものに出会うには約一ヶ月、満ち欠けの際の月の傾きまで考えると、約一年待たなければならない。周期のことも考えると…。また、天候にも大きく左右されるため、月達磨との出会いはとても貴重な瞬間と言えるだろう。この貴重な出会いや満ち欠けの変化こそが、昔も今も変わらず、人々が月に魅了される理由のひとつではないだろうか。

今宵も月の舟が浮かぶころ、静寂な瀬戸内の海と月が織りなす神秘的な風景を眺めながら、月を畏敬し、神秘の力を見出していた先人の感性に想いを馳せる。

 

青地大輔 略歴

岡山県岡山市在住のフォトグラファー。瀬戸内のランドスケープを主に撮影。県内外で建築家や美術家の表現することをより明確な形に記録するための撮影をおこなう。2004年から2015年までは、瀬戸内海(岡山)の離島「犬島」で人材の育成と発掘・地域づくりに取り組みながらアートプロジェクト犬島時間を企画主催。またイオンモール岡山開業時(2014年)にはArts haremachiのアートディレクターを担当。現在は瀬戸内海の水平線の月を追う日々が続いている。

主な個展
2003 青地大輔展/奈義町現代美術館
2010 テンプラセレクションvol.29 青地大輔写真展─犬島時間(天神山文化プラザ)
2016 アーティスト イン レジデンス(真鍋島、笠岡諸島:岡山県主催)
2017 Daisuke Aochi Photo experience × LEXUS OKAYAMA(レクサス岡山)

主なグループ展
2002 犬島アーツフェスティバル(犬島)
2005 アートリンクプロジェクト2005(Slogadh463)
2006-’09 玉井宮・東照宮龍神祭(玉井宮/岡山)
2006 コラボレーション・ポエム2006(天神山文化プラザ)
2007 アートフルナイト in 奈義 MOCA(奈義町現代美術館)
2008 アートの今・岡山 展(天神山文化プラザ・高梁市歴史美術館・奈義町現代美術館)
2009 共鳴する美術2009─表現への挑戦─(倉敷市立美術館)
2011 Living in Arts Project 2011(旧岡野屋旅館、勝山町並み保存地区)
2012 天神山文化プラザ50周年記念事業
「美へのまなざし・交差する世界」(天神山文化プラザ)
2013-’15 岡野屋旅館プロジェクト(旧岡野屋旅館、勝山町並み保存地区)
2013 「イヌの記憶」展(瀬戸内市立美術館)
2013 犬島時間 展(瀬戸内市立美術館)
2017、’19 ミュージアム×ナイト 奈義MOCA(奈義町現代美術館)
2019 ART de Meat Nagi(奈義町現代美術館)

企画主催プロジェクト
2004-’16 アートプロジェクト犬島時間

主な受賞歴
2009 岡山芸術文化賞功労賞(犬島時間実行委員会)
2013 福武文化奨励賞、岡山市文化奨励賞

出版
2016 An island called Gori Gori
2019 瀬戸内の光

https://www.blueworks-pdo.com
setouchiphotography

01. 《Red Moon》2020   02. 《Moon Phases》2021   03. 《mirage 15.42》2017
04. 《SETOUCHI X(mirage 27.33)》2020   05. 《moon halo 15.83》2021
06. 《月が昇る部屋》2019 ミュージアム×ナイト 奈義MOCA(奈義町現代美術館)