カンタ特別展(インドの刺し子展)〜望月真理作品展〜
●2006年10月16日〜24日
インド・バングラディシュには、以前国境がありませんでした。ウェストベンガル地方です。バングラディシュのジェソールあたりを中心として、カンタと呼ばれる刺し子がかつて多くの家庭で作られていました。古くなって使用に耐えられなくなった木綿のサリーやドウティー(男性衣)を保存しておき目的に合わせて何枚か重ね、思い思いの図柄とまたそのまわりの空間も細かく刺し、ふとん、敷物等自分の必要とする物などを作ったのです。これらは長い年月の間に見事な民衆芸術の域に迄昇華しました。今では、この仕事は土産物用のギラギラしたものに変わってしまいました。
私が初めてカンタを知ったのは1978年のカルカッタ国立博物館で、その時の驚きと興奮は今も忘れられません。
勿論、教科書も無く、作る人が居なくなり、10回に及ぶ、インド・バングラディシュの調査探訪が始まり、古いカンタを譲り受け、それを元に研究して参りました。
カルカッタのグルサデイミュージアム、アストッシュミュージアム、デリーの国立博物館にはすばらしいカンタがありますが、バングラディシュのダツカ国立博物館は数も質も、見事な物ばかりですこの文化の途絶えるのを惜しみ、シルクロードの終点である日本で受け継ぐ人があってもいいかと思ったのが始まりです。
<略歴>
大正15年生まれ 東京女子大学卒業
故イルゼ・ブラッシュ氏にヨーロッパの刺繍を数年学ぶ
日本民芸館展・新匠工芸展 入選
インド グルサルデイ ミュージアムに作品カンタ 納入