ターラ・サブハーウォル
●2008年3月22日〜4月8日
ひしおでのレジデンシーの準備のため、日本の作家、アーチストの書いたものを精読しましたが、そこに描かれているかつての優雅な日本にはたしてであうことができるかどうか心配でした。答えは「イエス」、勝山はそういうところでした。
ひしおのスタッフのおかげで、わたしのレジデンシーは快適。制作も進み、うまくいったと思います。展覧会のオープニングにも多くの方がいらして下さり、スライドショーを通じて始まった対話は、その後一ヶ月間、みなさんの親切、おいしい食事を囲んでの団らんを重ねて深まり、いい人間関係が生まれました。
禅宗の住職でアーチストである正道さんは、木版画の手ほどきをしてくれました。彼の作品のシンプルな清澄さに心打たれ、人生の知恵、活気あるユーモアにインスピレーションを得ました。木版画と筆を使ってのデッサンという新しい方法はチャレンジでしたが、空間の美、奥深い簡潔さ、規制のきいた自由さ、繊細な暗示など、私にとって初めての美の感覚を探ることは、大変重要でした。
文化について知る事はできますが、本当に認識するには自分の中で吟味してみることが必要です。「わたしの言葉に従う前に、言葉の持つ真実の意味をあなた自身の中に見つけなさい」という仏陀の教えがあります。ひしお体験で、わたしの中にあった日本を垣間みることができました。この素晴らしい体験をさせてくれたひしおとその周囲の人たちに感謝します。